タンクローリーで定年まで働ける?50代の異業種転職で最初にぶつかる壁
「定年まで3交替の工場勤務は、正直しんどい…」
「タンクローリーなら、ホースをつなぐだけで体がラクそう」
こんな気持ちで、異業種から運送の世界に飛び込もうとしている方へ。
結論から言います。
タンクローリーは、体の負担が少なくて歳を重ねても続けやすい仕事です。
ただし、「ラクだから」という理由だけで入ると、ギャップを感じます。
この記事では、化学工場から転職した53歳のKさんと、横乗りを担当する私(ライチ)の会話を通して、リアルなタンクローリー業界への転職事情をお伝えします。Kさんは架空の人物ですが、似た境遇で転職してきた人は、私の会社にも実際にいます。
- 登場人物
- Kさん:53歳。化学工場で荷受け担当。3交替勤務。タンクローリーのドライバーと話すうちに興味を持ち、転職を決意
- ライチ:ドライバー歴24年。現役の大型タンクローリー乗務員。Kさんの横乗りの先生
Kさんが転職を決めた理由
きっかけは、納品に来るタンクローリーのドライバーとの会話でした。
- 53歳。定年まで3交替を続けるのは、体の負担が大きい
- タンクローリーは荷積み・荷降ろしがホースをつなぐ作業中心で、体への負担が比較的少ない
- これなら定年まで無理なく勤められそう
そこで大型免許と危険物乙4を取得して面接を受け、採用。新人として入社し、いよいよ横乗りが始まりました。
ここからは、横乗り中の会話です。
リアル① 体は本当にラク。しかも「待たされない」

ライチさん、荷降ろしってホースをつなぐだけなんですね。工場での作業と比べると、拍子抜けしました

そうですよ
荷締め作業もないし、雨で荷物が濡れる心配や、荷崩れの心配もいらない
これは大きいですね
しかも、納品先では着時間が決まっていて、卸し場を空けて待ってくれていることが多い
待機時間が少ないのも、ローリーのいいところです

帰りの荷物はどうするんですか?

タンクには異なる製品を積めないので、納品が終わったら真っ直ぐ会社へ帰ります
帰り荷を手配して数時間待つ、ということがないんです
- 荷締めなし、雨濡れ・荷崩れの心配なし。ホースをつなぐ作業中心で、体の負担が少ない
- 着時間指定の納品が多く、待機時間が少ない
- 帰り荷の手配が不要(基本的に荷主からは往復分の運賃をいただいている)

箱車(両側のウイング開閉して積み下ろしするトラック)に乗って仕事していた頃は、納品が終わったら配車担当に電話して、帰りの荷物の手配(積み込み先、注意点)を聞いてました
その帰り荷も、よそがやりたがらないような仕事(面倒なことがあったり相場より低い運賃)をとることも多く、積み込み先の工場に行ってもまだ出荷準備ができてないからと平気で何時間も待機させられたりしていました
ローリーはあらかじめ往復分の運賃をいただいて運行することが多いので、これは仕事しやすい点の一つです

リアル② 最初の3ヶ月が、一番しんどい

先輩の作業を見ていても、正直何をやっているのか追いつけません…

みんな最初はそんな感じなんですよ
納品先ごとに構内ルールも違うし、覆えることが多い
横乗りはだいたい二ヶ月から四ヶ月、平均で三ヶ月ぐらいを見てください
とにかく細かくメモを取ること。これは必須です!

トラックの経験がないのが不安です

そこは大丈夫
箱車の経験が長い人ほど、自分のやり方が残ってしまって、かえって馴染めないこともあるんです
私も最初はそうでした(笑)
続く人は、教えられたことを素直にメモして、自分で再現できる真面目な人です
- 横乗り期間は2~4ヶ月(平均約3ヶ月)。ここで辞めてしまう人も現実にいる
- カギは、素直にメモして再現すること
- 未経験でも、ゼロから学ぶ姿勢があれば不利ではない

この道なん十年のドライバーでも、規律の厳しさや仕事が覚えられず辞めていったりしました
運転には自信のあった私も、最初の3ヶ月くらいは荷積み荷下ろしの作業の手順や必要な金具や、納品先ごとのルールの違いなどを覚えるのに必死で、「これ、ちゃんと務まるかな?」と不安になったものです

リアル③ ルールと責任は、思ったより重い

乗務前の点呼と車両点検、荷降ろしの手順、長袖と保護具の徹底…。細かいですね

危険物を運ぶ仕事ですから
荷積み中はオーバーフローしないように監視して、ホースやパッキンの点検も欠かせません
ルールを厳守できる人じゃないと、務まらないですね
あと、危険物の資格は3年に1度、講習を受ける必要があります
- 点呼・車両点検・保護具・作業手順を毎日徹底する
- 荷積み中のオーバーフロー監視と、ホース・パッキンの点検
- 危険物の資格は、3年に1度の講習が必要
- 一度の事故で、大きな被害につながるリスクがある
リアル④ 3交替とは違う、「朝の早さ」がある

夜勤がないのはありがたいですね。でも、朝がかなり早い…

出勤は早朝の荷積みや中距離なら午前2時〜5時、地場なら午前6時〜8時ぐらいが多いです
そのかわり、残業があってもだいたい夕方の17時・18時には終わることがほとんどですよ
- 朝は早いが、夜間勤務のような不規則なシフトではない
- 2024年問題以降、拘束時間は最長での15時間以内で配車される
- 入社前に「出勤時間」と「だいたいの退社時間」を確認する

仕事がある日は目覚ましをセットすることを忘れないようにしましょう!
リアル⑤ 運転は「液体」を意識する

ブレーキのとき、後ろから押される感じがしました

タンクの中には防波板があって揺れを抑える工夫はされていますが、急ブレーキや急カーブはやっぱりNG
とくにタンクが実入りの状態だと車体の重心の位置が高くなるので、急なカーブは転倒事故にもつながります
常にスムーズで安全速度を守る運転を心がけるのが基本です
- 急ブレーキ・急カーブは液体が揺れるので避ける
- 単車のタンクローリーの車体の長さは4tトラックとほぼ同じ。大型初心者にも慣れやすい
- 基本は「やさしい運転」を心がける
リアル⑥ 稼げるかは、「会社選び」で決まる

ぶっちゃけ、給料はどのくらいですか?

タンクローリーの年収は400万〜600万円くらいが目安です
私はケミカル中心ですが、そこまで忙しくなかった月でも、手取りで三十万円を下回ることはありません
とはいえ、会社や働き方で大きく変わります
面接では、「この給料は普通に働いて届く額か」をちゃんと確認してくださいね
- 年収の目安は400万~600万円。大手企業の危険物のルートでは700万円前後になることもある
- 同じタンクローリーでも、会社で大きく変わる
- 給料の実態を、はっきり説明してくれる会社を選ぶ

最初のうちは地場仕事がメインで仕事に慣れていく感じで、一年目は500万円に届かないくらいでしたね
仕事に慣れてきたら徐々に中距離から長距離も任されるようになり、600万円以上の年収になりました
53歳からの転職で大事な3つのこと
横乗りをしながら、私がKさんに伝えたのはこの3つです。
- 素直にメモして、自分で再現する 経験の有無より、教えられたことをやり切れる人が続きます。
- 最初の3ヶ月を、あせらず乗り切る しんどいのは入社直後です。リズムをつかむと、景色が変わります。
- 会社選びは、給料と働き方を確認してから 面接では「長く働きたい」という気持ちを伝えつつ、給料の実態も最後に確認しましょう。
まとめ|ラクじゃない。でも、「続けやすい」
タンクローリーは、荷締めも帰り荷の待機もなく、体の負担が少ない仕事です。
歳を重ねても続けやすいのは事実です。
ただし、ルールの厳しさ、責任の重さ、朝の早さ、最初の3ヶ月のしんどさという、別の種類の大変さもあります。
それでも、素直に学べる人、ルールを守れる人なら、異業種からでも十分に活躍できる仕事です。

年齢を理由にあきらめず、まずは求人を見てみてください!
ではまたっ、ピース!



